ソフトウェアとAIで変革を推進する: Bilal ZuberiとQasar YounisのQ&A

2024-03-14

Applied IntuitionのシリーズE発表後、投資家の共同リードであるBilal Zuberiが、Applied IntuitionのCEO、Qasar Younisと対談し、当社の野心的なミッションと将来のビジョンについて質問しました。この対談では、Applied Intuitionの成長を牽引する戦略、イノベーションを育む独自の企業文化、そしてグローバルな事業規模について深く考察しています。

「Applied Intuitionが自動車業界を再構築するだけでなく、何が可能かを再定義していることは、私たちの議論から明らかでした」と、Lux Capitalのゼネラルパートナー、Bilal Zuberiは語っています。

Bilal: 「なぜ自動車産業での会社設立を選んだのですか?」

Qasar: 「なぜ 」をいくつか挙げてみましょう。まず、「なぜ自動車なのか?」 自動車は、世界の主要経済圏で最も大きなシェアを占める産業セクターだからです。私たちは、業界全体の技術的変革を目の当たりにしており、それは計り知れないチャンスをもたらすものです。ビジネスチャンスはもちろんですが、世界中のほとんどの人に影響を与える可能性のある、エキサイティングなテクノロジーを生み出すチャンスでもあります。これは決して誇張ではないと思います。

2つ目に、「なぜ私たちなのか?」です。私たちの創業チームは、シリコンバレー発のソフトウェアとAIの専門知識に加え、デトロイトの自動車の専門知識を持ち合わせた特別な融合体です。この分野で成功するためには、その両方が必要です。私たちのようなリーダーシップチームは、この業界には他にいないでしょうし、これはお客様からも同意いただけるでしょう。業界経験者の採用も大切ですが、創業者にそうしたコア・スキルがあることで、私たちは複雑で明白ではない多くの意思決断を正しく下すことができるのです。つまり、OEMやサプライヤー、ベイエリアのソフトウェア大手、ベンチャー・キャピタルにおける役割、そのすべてが対象です。これらすべてが役立っていると思います。」

Lux Capitalのゼネラル・パートナー、Bilal Zuberiと、Applied IntuitionのCEO兼共同設立者、Qasar Younis

Bilal: 「OEMが注目している自動車分野の最大の技術トレンドは何ですか?」

Qasar: 「トレンドには、製品の製造に関係するものと、製品の製造方法に関係するものがあります。前者については、電気自動車への移行と、より高度な自律性の実現が、主要な製品トレンドであると私は見ています。

製造方法については、より多くの自動車(および商用トラックから戦車に至るすべての車両)が、ソフトウェアやAI製品になり、製品の開発・発売サイクルが短縮され、そして根本的に、新しい消費者体験が生まれることを意味します。これらのトレンドは、単に業界を再構築するだけでなく、新技術と成長のための新たな道を切り開いています。トラクターから戦車まで、すべてが本当にスマートになっているのです。」

Bilal: 「自動車メーカーと競争するのではなく、自動車メーカーが自らを破壊する手助けをすることに注力するのはなぜですか?」

Qasar: 「自動車やトラックを大規模に生産するビジネスは非常に複雑で、OEMは何十年、時には100年以上の経験を持っています。テスラのように大きな成功を収めている企業でさえ、いまだ市場の数パーセントにすぎません。まだ、たくさんのチャンスがあるのです。私たちが、いわばサプライヤーのテスラの様な存在になり、OEMパートナーを通じて世界最高のソフトウェアとAI技術を顧客に提供できれば、VCはそれを "ウィン-ウィン "と呼ぶでしょう!」

Bilal: 「Applied Intuitionは、今や世界中に顧客とオフィスを持っています。ここまでの成長で最も興味深かったことは何ですか?」

Qasar: 「グローバルに事業展開を拡大することで、お客様がどこにいてもサポートできるようになり、シリコンバレーのルーツとの強い結びつきを育みながらも、グローバルに高い人材水準を維持することができるようになりました。私たちのチームが、統一されたワークスタイルと倫理観を守りながら、異なる言語や文化をナビゲートする様子を見るのは魅力的です。」

Bilal: 「御社がサービスを提供している業界や顧客について、もう少し詳しく教えていただけますか?」

Qasar: 「ご質問の最後の部分をはじめに取り上げると、私たちは世界の自動車メーカー上位20社のうち、18社を顧客としています。ダイムラー・トルク、日産自動車、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン・グループなどがその一貫で、私たちは誇りを持ってこれらの名前を挙げています。すべてのお客様をご紹介することはできませんが、ほとんどの方がよくご存じだと思います。今回のラウンドでは、ポルシェが当社の投資家リストに加わったことも発表しました。また、私たちがサービスを提供する業界としては、自律走行車、建設、農業、防衛などが挙げられます。機械がより安全に、よりインテリジェントに動くことを支援できる場所であれば、どこでも私たちを目にすることができるでしょう。自動車産業だけでも世界のGDPの3%を占めており、これは巨大なものですが、防衛、商用トラック輸送、建設、鉱業、農業を含めると、その市場は底知れぬほど大きく、影響力があります。これらの産業は、この地球上で皆さんの生活のあらゆる側面に接しており、私たちはこれらを前進させることに興奮しています。これを正しく行えば、Applied Intuitionは今よりずっと大きくなると思います。」

Bilal: 「防衛事業に言及されました。Applied Intuitionは、米国防総省に主要顧客を持ち、ソフトウェア定義型システムの世界的な展開に一役を担っています。すでに民間ビジネスで大成功を収めているのに、その動機は何ですか?」

Qasar: 「はい、自動車分野以外でも、私たちは防衛分野で大きな進歩を遂げました。ロボット戦闘車両(Robotic Combat Vehicle)がその一例ですが、Applied Intuition Defenseによる取り組みは、国防総省がどのように重要能力を開発するか、その方法を変えようとするものです。強みを活かした平和 ー 私たちのモチベーションはシンプルです。また、私たちは、軍と政府が国民とその利益を守るという大前提に寄与することの重要さを信じています。これは、米国への移民である私にとっては個人的にも重要なのですが、私は、社会から恩恵を受けた者としての義務であると信じています。平和への唯一の希望は、米国とその同盟国が、世界で最も有能かつ効果的な軍事同盟を維持し続けたその先にあります。この優位性維持には、最も洗練されたソフトウェアとAIにより定義された技術能力が必要なのです。つまり、国防総省、シリコンバレー、ベンチャーキャピタルが協力してそれらを実現しなければなりません。」

Bilal: 「Applied Intuitionはシリコンバレーでもそのユニークなカルチャーで知られています。何が特別なのですか?」

Qasar: 「私たちは企業文化の価値を重視しています。私がエンジニアとしてキャリアをスタートさせた当初は、企業における「文化」や「価値観」に懐疑的でした。しかし、仕事を重ねるうちに、私たちが共通の言語を話していなければ、会社の効率は格段に落ちることに気づきました。Applied Intuitionで働く誰もが、カルチャー・マントラを日常生活の中核的責任として受け止めています。新入社員がApplied Intuitionについて最初に学ぶのは、当社のコアバリューです。文化について語る会社はたくさんありますが、当社が特別なのは、実際にその価値観に従って生きていることだと思います。

当社のナンバーワンバリュー、"何よりもスピード "についてお話ししましょう。私たちがサービスを提供している自動車業界について考えてみてください。19世紀後半に馬に取って代わろうとしたのが始まりで、20世紀には大きく成長しました。そしてほんの数十年前、自律走行車の研究が始まったのです。そして今、私たちは自動運転車が主流になる瀬戸際にいます。馬から自動運転(AV)まで、わずか1世紀余り。人類の偉業からすれば、このスパンは何でもないこと!私たちがスピードを重視しないわけがありません。全速力未満で移動するという選択肢はないのです。

これらの価値観を通じて、私たちの組織のDNAの中核をなしているのは、完璧さの追求へ焦点を当てることです。シリーズE発表の際、Bill Walshの本のタイトルから引用したように、"評価は自ずとついてくる "のです。日々の物事を正しく行うことは、他の何よりも、実はずっと難しいことなのです。

また、何をしないか、ということも重要です。私たちは高尚な肩書きも使わないし、ツイッターで自分たちがいかに偉大かを延々と語り続けるようなこともしません。

別の例を挙げましょう。パンデミックの後、完全なリモートワークを導入したり、従業員にハイブリッド・ワークを採用させるなど、従業員の働き方について各企業はさまざまなアプローチを試みました。私たちにとっては、これは単純な選択でした。週5日間のオフィス勤務により、スピード感を持って業務を遂行するのです。私たちは、自分たちが何であり、何でないかを意識的に考えてきました。カルチャーとは、そうした決断を表現するひとつの方法にすぎません。」

Bilal: 「リクルート、製品開発、顧客エンゲージメント、資金調達のバランスをどのように取っていますか?」

Qasar: 「資金調達は、当社の一貫したパフォーマンスと、キャップテーブルの投資家による慎重なキュレーションのおかげで、私たちリーダーシップの時間をほとんど費やしません。現時点では、私たちの真の贅沢は、私たちが望む相手と仕事ができることだと思います。そして、私たちには地球上で最高の投資家がおり、彼らは単純な基本を理解しています。それは、投資家に出来ることは限られており、私たちに集中させるということです。製品開発、顧客エンゲージメント、強力なチームの構築などに集中するのです。いわばパンとバターの関係です。そして、先ほど言った通り、評価は自ずとついてくるのです。」

Bilal: 「ビジネス界で尊敬する人はいますか?彼らはApplied Intuitionにどのような影響を与えましたか?」

Qasar: 「陳腐な答えですが、バークシャーのウォーレン・バフェットとサム・ウォルトンがすぐに思い浮かびます。長期間にわたる絶え間ない実行力を尊敬します。数年間優秀であることと、数十年間に渡り優秀であり続けることは全く別のことです。私はシリコンバレーが大好きだし、純粋にドルやセントで見れば、シリコンバレーはここ数十年間におけるアメリカ経済の重要な原動力のひとつとなっています。しかし、私がシリコンバレーで気に病むのは、行ったり来たりするハイプ・サイクルです。皮肉なジョークですが、あの資金をジェネレーティブAIに使っているということを、読者の皆さんに思い出してもらってもいいだろうか?私はまた、あまり真剣に物事を考えすぎない人に憧れます。自分の仕事はきちんとこなす、でもシリアスになりすぎない、ということです。

私は本からもインスピレーションを受け、特に影響を受けた本はリストアップしています。ここでは紹介しきれないほどありますが、ジャレッド・M・ダイアモンドの『Guns, Germs and Steel』や、スティーブン・キングの『On Writing』等です。後者は、ビジネス論では意外かもしれませんが、キングが、卓越への道を、ひたむきな努力、規律、粘り強さ、スキルを習得したいという願望、そして運にかかっていると表現しており共感します。『Guns, Germs and Steel』は、なぜ豊かな国と貧しい国があるのか?といった疑問に語りかけます。本についてはいくらでも話すことができます。

Bilal: 「Applied Intuitionはエキサイティングな時代を迎えているようです。次は何を楽しみにしていますか?何にワクワクしますか?」

Qasar: 「これまでやってきたことを、もっと、そしてより良くする。私たちをここまで導いてくれたチームとその集中力を維持したいと思っています。

RPOと銀行資金のおかげで、キャッシュフローがプラスでありながら、成長投資に投じる額を10億ドル以上有しています。ですから、このようなリソースを活用し、次の技術的課題に本格的に取り組めることに、最も興奮しています。

安全でインテリジェントなマシンの導入を加速させる、という私たちの使命は、刺激的なものだと強く信じています。そして、私たちが正しく仕事をすれば、人々の命を救うことができるのです。その一部になれるなら、ワクワクしない人はきっといないでしょう。」