日産が示す、AI デファインド ビークル開発の実像

日産は、Applied Intuition 上に構築した AI を活用する開発ワークフローにより、多くのソフトウェア開発に要する時間を数か月から数分へと短縮できることを AWS Summit Japan で示しました。

June 30, 2026 • 3 min read

車両のソフトウェア デファインド化が進むにつれて、ソフトウェアを迅速に開発、テスト、検証、デプロイする能力は、アプリケーションそのものと同じくらい重要になっています。

現在の車両には数百万行ものコードが組み込まれており、イノベーションのスピードが加速の一途をたどる中、自動車メーカーには新たな開発手法が求められています。

AWS Summit Japan では、Applied Intuition は日産とともに、こうした未来の姿を示しました。

A red Nissan vehicle on display at an AWS for Automotive exhibition booth, with Japanese-language signage and product displays visible in the background

Applied Intuition は、AI デファインド ビークルに向けた日産のビジョンの一環として、要件定義から実装、テスト、OTA 配信まで、ソフトウェア ライフサイクル全体を単一の統合ワークフローに集約する AI ネイティブの開発環境を発表しました。

「すべての自動車メーカーが AI とソフトウェア デファインド ビークルに投資しています。しかし、多くの自動車メーカーは、いまだに異なる時代を前提に構築された開発プロセスに依存しています」と、AWS Summit Japan で Applied Intuition の自動車部門責任者 Will Lin は述べました。「Applied Intuition は長年にわたり、OEM パートナーがより迅速にソフトウェアを開発できるようにするツールとインフラを構築し、最新の AI 機能を取り入れてきました。この基盤を適切に整えることが、その先のあらゆる取り組みを可能にする鍵となります」

新たな開発ワークフローの実例

従来の自動車ソフトウェア開発は、現在求められるスピードに対応できるようには構築されていません。単純な機能アップデートであっても、サイロ化された要件を横断し、ECU インターフェースを再構成し、複数のシステムにまたがる検証サイクルを調整する必要が生じます。複数領域にまたがる開発とテストは数か月に及ぶこともあり、バグは変更からかなり時間が経過した後、修正コストが大幅に高まり、修正の実装も難しくなった段階で初めて顕在化しかねません。ソフトウェア デファインド ビークルと AI 駆動の機能を追求する OEM にとって、こうした課題は相互に重なり合い、急速に深刻化します。

AWS Summit Japan では、日産リーフのアーキテクチャをベースとしたデモ車両を用い、従来であれば開発と検証に数週間から数か月を要するソフトウェア変更を、リアルタイムで実装できることを示すデモンストレーションが行われました。実演テーマとして来場者が選んだのは、ライトの点滅を伴う車両のウェルカム シーケンスへの変更です。エンジニアは Applied Intuition のツールでその変更をソフトウェアに反映し、検証したうえで OTA により配信。更新後の挙動は即座にステージ上の車両で確認できました。

ライトの点滅やウェルカム シーケンスの変更は、このデモの本題ではありません。分断され、手作業に依存してきた従来のワークフローを AI を活用した統合ツールチェーンに置き換えれば、開発はどこまで速くなり、何が可能になるのか。それを示したのが、このデモンストレーションです。

自動車メーカーがより複雑な機能の実現を目指すほど、この転換は重要になります。そうした機能を実現するには、車両に AI を搭載するだけでなく、車両ソフトウェアの開発方法そのものを見直さなければなりません。

A presenter speaks to a crowd of attendees at a trade show booth.

Applied Intuition の Vehicle OS は、まさにそれを目的に開発されたプラットフォームです。要件、コード、シミュレーション、検証、デバッグ、デプロイメントを、エンドツーエンドのトレーサビリティを備えた単一の AI 基盤ワークフローに統合することで、すべての変更を要件から本番環境まで一貫して追跡できます。かつて数か月を要した作業も、いまや数時間、場合によっては数分という単位で完了します。

競争の尺度となるソフトウェア開発サイクル

このデモを通じて一貫して浮かび上がったのは、スピードと生産性という二つのテーマです。これまで分断されていた開発、検証、デプロイメントのワークフローをインテリジェントな統合環境に集約することで、チームはツールやプロセスの調整に費やす時間を減らし、顧客に差別化された体験を提供するアプリケーションの開発により多くの時間を割けるようになりました。

その影響は、個々の機能にとどまらず、車両開発全体へと広がります。Applied Intuition は、ドメイン間の開発およびテストプロセスを簡素化することで、自動車メーカーが車両の開発期間を半減させ、新興 OEMメーカーのスピードに追いつき、あるいはそれを上回ることができるよう支援しています。

AI デファインド ビークルの時代、開発スピードこそが決定的な競争力となります。ビークル インテリジェンスの未来を形づくるのは、ソフトウェアそのものだけでなく、それをどれだけ速く開発できるかです。