デジタル実証環境:戦場に出る前に築く、自律システムへの信頼
Applied Intuitionのデジタル実証環境 (Digital Proving Grounds)では、複数のベンダーが開発する自律システムを、ハードウェアが実際に出荷される前から、実任務規模の仮想環境で継続的にテスト・検証することができます。
軍事分野では、自律システムの活用が急速に進んでいます。ドローン、船舶、地上車両は、周囲を認識し、状況を理解して行動を計画する能力を備え、単独ではなく複数のシステムが連携して運用されるケースも増えており、こうした変化はすでに現実のものとなりつつあります。
数百機の小型ドローンを使い、あるエリアで発見が難しい標的を捜索する任務を想定してみてください。これらのドローンは複数の企業が提供するコンポーネントで構成されており、実環境でドローン同士を連携運用するには、あるベンダーのカメラ、別のベンダーのナビゲーション、さらに別のベンダーの認識ソフトウェアが正しく連携して機能し、ドローン群全体がチームとして安全かつ効果的に動作することを確認しなければなりません。
現在、こうした検証の多くは、実機を実際の環境で運用し、その挙動を確認する方法で行われています。しかし、実地演習には1台あたり数十万ドルもの費用がかかる場合があるうえ、実施できる機会も年に数回程度に限られます。そのため、任務遂行に必要な膨大なシナリオのうち、ごく一部しか検証できないのが現状です。
さらに、システム間の統合に関する問題が明らかになるまでに時間がかかり、多くの場合、最もコストのかかる実地演習の段階になって初めて問題が発覚します。各ベンダーがそれぞれ個別にシステム開発を進めるため、異なるシステム同士が初めて通信・連携する場が、実地演習になるケースさえあります。
こうした状況により、自律システムを大規模に実運用へ展開する際の大きなボトルネックとなっているのが、テスト・検証プロセスです。必要な運用能力を隊員に届けられるタイミングが遅れるだけでなく、実際に導入された時点でも、複数のシステムを統合・連携した際の挙動が十分に検証されていないという課題が残ります。
求められているのは、より優れた自律システムを開発するだけではありません。任務に必要な能力を、より迅速かつ確実に現場へ届けることです。
Applied Intuition のデジタル実証環境 (DPG) は、常時利用可能なベンダーニュートラルのシミュレーション環境によって、こうした課題に対応します。チームは仮想環境上で自律システムを構築、接続、テストできるほか、仮想環境での検証から実機による検証へ移行する際には、DPG が実地テストの基盤としても機能します。
DPG は、複数のベンダーが開発するシステム間の連携を可能にし、シミュレーションによる検証から HIL、実地演習まで、幅広いテストを一つの環境でカバーします。政府機関にとっては、サードパーティ製の自律システムを中立的な立場から評価できるプラットフォームとなり、システムの統合準備状況も継続的に把握できます。
さらに DPG では、複数の領域にまたがる数百から数千の異なるエージェントを、一つのシミュレーション環境で同時に検証できます。個別に実施すれば数週間かかるテストも、数時間で完了させることが可能です。
各テストキャンペーンで新たに作成されたシナリオや、検証済みのシステムの挙動、テストデータは蓄積され、その後のプログラムでも再利用できます。これにより、テストを一度きりの工程ではなく、継続的に価値を生み出す資産へと変えていくことができます。
Applied Intuition は、商用自動運転車の開発企業と約10年にわたって取り組む中で、このアプローチを磨いてきました。これまで自動車分野で蓄積してきた数百万マイル規模のシミュレーションから得られた知見を防衛分野にも展開し、デュアルユース技術ならではの強みを生かすことで、自律システムの開発・検証を支える産業基盤のさらなる発展に貢献しています。
Applied Intuition はこのほど、米国防総省研究工学担当次官室と提携し、Virtual Readiness and Experimentation (VREX) と呼ばれる DPG に取り組みました。VREX の目的は、異なる企業が開発した空中、海上、水中の自律型ビークルを一つの統合ミッションで連携させ、その統合を検証することです。
無人スウォームが現代戦の柱となる中、こうした問題への対応は軍にとってますます重要になっています。こうした複数の自律型ビークルの連携が「協調自律」です。
協調自律の挙動を開発することは、単一の自律型ビークルを単独で適切に動作させることとは異なる課題です。だからこそ、従来型のテスト手法ではもはや対応しきれなくなっています。VREX で検証したようなシステム群が実際に連携して機能するかを確認するには、従来、数十人のエンジニアに加えて実機まで現地の試験場へ移動させる必要がありました。その準備には多額のコストがかかるため、実施できるのは年に数回程度。しかも大規模なテストそのものが、これらのシステム同士が実際に初めて通信する場になることも多く、不本意な結果や避けられたはずのミスにつながることがあります。
この問題を解決するのが DPG です。DPG では物理的な試験場でのテストに必要な時間やコスト、リソースの制約を受けることなく、初期段階の検証をデジタル環境で実施できます。
この DPG アプローチは現在、最高デジタル人工知能責任者室 (CDAO) の Autonomy Factory プログラムを通じて米国防総省全体へと展開されており、Applied Intuition のプラットフォームは米国防総省の各プログラムで共有されるテストおよび統合基盤として機能します。
DPG はシミュレーションから実地検証までを連続的につなぎ、さまざまな忠実度レベルでのテストを可能にします。
VREX では、異なる種類のビークルを共通して制御する指揮統制インターフェースと実運用規模で迅速にテストできるプラットフォームが必要で、DPG には Applied Intuition の指揮統制インターフェースが組み込まれています。
DPG は発見・修正・飛行 (find-fix-fly) ループを大幅に高速化し、テスト中に問題が見つかれば原因を特定して修正を実装し、プラットフォームを再飛行させるまでを現地で 1 時間以内に完了可能です。従来は数週間を要していたこの重要な反復サイクルを大幅に短縮することで、実地演習の最中でも迅速な対応が可能になります。
VREX では Applied Intuition が各ベンダーと連携しながら DPG を運用し、軍関係者は統合プロセスを継続的に把握できます。最初の主要イベントでは、複数機関から数十人の政府関係者が参加し、複数ベンダーの水上ビークルと航空ビークルを統合したミッションの成功を見届けました。
シミュレーションによるテストも実環境でのイベントも、その結果はすべて共有ライブラリに蓄積され、新たに見つかった問題は今後のテストへ自動的に反映されます。次のテストにはそれまでの知見が生かされ、回を重ねるごとに内容も洗練されることで、テストは単発のイベントの繰り返しではなく、使うほどシステムの信頼性が高まり、新たなテストにも過去の学びが生きるフィードバックの好循環へと変化します。このプロセスは、エンジニアが実際のハードウェア コンポーネントの統合に着手する段階でも途切れることはありません。
DPG の導入により、隊員はより信頼性の高い運用能力を得られるようになります。従来のテスト手法では、未発見のエッジケースや統合上の問題を抱えたままシステムが戦域に投入され、実運用の負荷がかかって初めて問題が明らかになることも少なくありませんでしたが、DPG では数千ものシナリオを通じて事前にテストを重ね、連携時の挙動も検証したうえでシステムを投入できます。その結果、隊員には戦場に出る前に十分に実証された、信頼できる自律システムが届けられます。
従来のテストでは、合否の結果が出れば、その内容の多くは記録として保管されるだけでした。一方 DPG は継続的に稼働し、テストから得られた知見を蓄積し続けるため、テストそのものが継続的な学びの源となります。そこで得られた知見は、次に何を開発するかだけでなく、新たな能力をどれだけ迅速に実運用へつなげられるかにも生かされます。
DPG はこれまでほぼ手作業で時間を要していたテストと開発のフィードバック ループをつなぎ、より多くのシステムをより迅速に実運用へ投入し、隊員により優れた運用能力を届けるという、何より重要な 2 つの目的を実現します。
詳しくは applied.co/defense をご覧ください。