国家規模のフィジカル AI をサウジアラビアで構築
Applied Intuition と HUMAIN は、自動運転トラックの展開を皮切りに、ロボタクシーを含む他分野への拡大を目指す協業を発表しました。
サウジアラビアは国家規模での自動運転トラックの導入を皮切りに、フィジカル AI をリードする存在となろうとしています。Applied Intuition とフルスタックの AI 機能を世界各地に提供する PIF 傘下の HUMAIN は、2030 年までに主要物流ネットワークで数千台の自動運転トラックを展開する戦略的協業を発表しました。これが実現すれば、世界最大規模の自動運転トラック網となる見込みです。
両社によるサウジアラビア全土での自動運転と自律化の基盤となる枠組みの構築は、HUMAIN のフィジカル AI 戦略における最初の主要プロジェクトとなります。今後はロボタクシー、港湾、鉱業をはじめとする他分野への展開も検討しています。
「Applied Intuition を創業して以来、私たちが掲げてきたビジョンは、あらゆる産業の動く機械にインテリジェンスをもたらす単一のプラットフォームを構築することでした」と Applied Intuition 共同創業者兼 CEO の Qasar Younis は述べています。
「サウジアラビアは、そのビジョンが国家規模で現実のものとなる場所です。まずは自動運転トラックから始めますが、HUMAIN とともにインテリジェント インフラの基盤を築き、10 億台の動く機械にインテリジェンスをもたらすという目標に向けて大きく前進します。」
Applied Intuition の自動運転システム (Self-Driving System / SDS) は、Vehicle OS やその他の車両インテリジェンス技術とともに、今回の協業の中核を担う技術です。SDS はすでに米国、欧州、日本の公道で稼働しており、日本ではいすゞ自動車とともに L4 の自動運転トラックを運行しています。
SDS は 2025 年に乗用車向けとして提供を開始し、その後すぐに鉱業、建設、トラック輸送など、他の産業やユースケースへと対象を拡大しました。現在では高速道路や市街地、鉱山、農場をはじめ、陸海空を問わず、あらゆる動く機械に対応しています。プラットフォームは車両や環境に応じて適応する一方、基本アーキテクチャは共通です。運転によって得られるデータは Applied Intuition の大規模なシミュレーションおよび開発基盤にフィードバックされ、エンジニアはそこで実環境のシナリオを再現し、改善点を検証したうえで、更新したモデルをフリートに反映します。
こうした実績ある基盤は今後、トラック輸送にとって世界でも特に厳しい環境の一つであるサウジアラビアに展開されます。極端な高温や砂ぼこりにさらされる長距離輸送ルートは、車両に大きな負荷をかけますが、このプラットフォームがこうした過酷な環境で稼働するのは今回が初めてではありません。コマツとの提携を通じて、Applied Intuition の Vehicle OS や自動運転による運搬システム、衝突回避システムが鉱業分野で活用されています。鉱山では高温、粉じん、不整地、支援インフラから遠く離れた立地など、さまざまな厳しい条件に直面します。鉱山現場で解決に取り組んでいる課題の多くは、サウジアラビアでも乗り越える必要があり、その規模はトラック輸送の分野でも類を見ないものとなります。
「多くの自動運転プログラムは、数台の車両や単一のルートから始まります。しかし私たちは、国全体の貨物輸送ネットワークを変革するという目標からスタートしています」と Younis は述べています。
「私たちは 10 年近くにわたり、さまざまな車両、産業、環境で自動運転を安全に展開するための技術を構築してきました。今、その過程で得たすべての知見をサウジアラビアに持ち込み、業界でもこれまでにない規模で展開しようとしています。」
トラック輸送は多くの国や地域の経済を支える基盤であり、その大きな制約の一つが人による運転です。こうした背景から、各国で物流ネットワークへの自動運転の導入をさらに進める方法が検討されています。
自動運転トラックはドライバーの勤務時間に左右されず、疲労や注意力低下の影響も受けません。自動運転フリートは運転全体で燃費効率を最適化するとともに、車両の状態を継続的に監視し、フリートの安全かつ安定した運行を支えます。
サウジアラビアでは、港湾、工業都市、物流拠点を長距離の幹線道路で結ぶ物流ネットワークに数千台の自動運転トラックを導入することで、ネットワーク全体で貨物をより安全かつ効率的に、24 時間途切れることなく輸送できるようになります。HUMAIN との協業の初期段階では自動運転トラックに注力し、今後はフィジカル AI のさらなる活用分野も検討していきます。
「自動運転トラックは、まだ始まりにすぎません」と Younis は述べています。
「国家規模でフィジカル AI を展開するためのデータ、インフラ、専門知識が整えば、そのインテリジェンスをあらゆる動く機械へと広げることができます。そして、人や物がより安全に、より速く、より低コストで移動できるようになれば、その効果は経済全体へと波及していきます。私たちがサウジアラビアに見出しているのは、まさにこうした可能性です。」
HUMAIN との協業を通じて、Applied Intuition は国家規模でフィジカル AI を展開するためのモデルを構築しています。リヤドにはオフィスを設置し、このプログラムに直接携わる現地チームの採用も進めています。これは、サウジアラビア国内での雇用創出と技術力の強化に向けた長期的なコミットメントの一環です。オフィス開設時点ですでにトラックが現地で稼働しており、今後は自動運転フリートの展開、運用、規模拡大を担う高度な専門職の雇用も創出します。
サウジアラビアでは、フィジカル AI を国家規模で継続的に進化させるための基盤づくりが進められています。HUMAIN と Applied Intuition がここでともに築くものは、さらに大きな変革への道筋を示す可能性を秘めています。その先にあるのは、インテリジェント インフラによって経済全体の安全性と生産性が高まり、さらなる繁栄がもたらされる世界です。