「Intersect 26: Japan」の舞台裏:日本向けに開発されたフィジカルAI
2026年6月に開催されたこのイベントでは、Applied Intuition が、国内の自動車、トラック輸送、産業分野においてフィジカル AI 分野で発揮する実力を披露するとともに、SDS の日本への事業拡大が発表されました。
日本ほど、現代の産業の発展に大きな影響を与えてきた国は多くありません。
日本の自動車メーカーや産業機械メーカー、そしてさまざまな製造業関連企業は、長年にわたりエンジニアリング、品質、そして継続的改善の分野で世界的な基準を築いてきました。乗用車や商用トラックをはじめ、建設機械、鉱山機械、さらには工場自動化システムに至るまで、日本の OEM 各社は世界でも屈指の高度な物理システムを生み出してきました。
そして今、こうした企業の多くが新たな転換点を迎えています。それは、世界経済を支える機械やシステムに、ソフトウェアとAIをどのように組み込み、新たな価値を創出していくかという課題です。

自動車部門責任者のウィル・リン氏が「Intersect 26」で講演
こうした背景から、日本こそが「Intersect 26: Japan」の開催地としてふさわしい場所となりました。このイベントでは、Applied Intuition が自動車、トラック、建設、鉱業、テクノロジー各分野のオピニオンリーダーを含む 200名 以上の参加者を集め、フィジカル AI の未来について議論を交わしました。先週、東京の大手町三井ホールで開催された本イベントでは、先進的なソフトウェア、人工知能、そして日本の深いエンジニアリングの専門知識が交差する中で、新世代のインテリジェントマシンがどのように台頭しつつあるかが探求されました。
参加者にとっては、フィジカルAI のリーダーである Applied Intuition がエコシステムをどのように捉えているかを、内部の視点から垣間見る機会ともなりました。
ビークル インテリジェンス部門責任者のアドリアーノ・キロガ氏は、現在、業界横断的にフィジカル AI を展開することを可能にしている専門知識とインフラを構築するために費やされた、10年にわたるシミュレーション、検証、その他の取り組みについて詳しく説明しました。チーフ サイエンティストのウェイ・ザン氏は、自動運転の新たなパラダイムと、AV 3.0 を支える最先端の AI 技術について発表しました。一方、副 CTO のマルハル・パテル氏は、エンジニアリングから人材、財務に至るまで、企業がどのようにして「AI ネイティブ」になれるかについてのビジョンを提示しました。また、自動車部門責任者のウィル・リンは、半導体の経済性とワンボックス アーキテクチャへの道筋について論じました。
これらのプレゼンテーションを通じて示されたのは、Applied Intuition がフィジカル AI の実現に向けてどのような取り組みを進めているのかというビジョンです。基盤となるインフラを構築し、それをさまざまな業界や地域、そしてますます複雑化する実世界の環境へと展開していく取り組みの全体像が紹介されました。その戦略が最も顕著に表れたのが、この日の最大の発表である「日本向け SDS 」のローンチでした。
日本は世界でも有数の自動車市場であると同時に、自動運転技術にとって最も難易度の高い環境の一つでもあります。Applied Intuition が北米および欧州に続き、わずか1年足らずで日本市場向け SDS の提供を開始したことは、同社のプラットフォームが持つ柔軟性と、市場ごとにゼロから作り直すことなくグローバルに展開できる拡張性を示しています。

日本車EV車両で、Applied IntuitionのVehicle OS 上にAI機能を実装したコックピット空間のデモ体験するIntersect 参加者
Applied Intuition はこれまで、日本の主要な乗用車メーカーや商用車メーカーと緊密に連携しながら、国内のエンジニアリング体制の強化を進めてきました。また、車両運用体制の構築や地域に最適化されたデータインフラの整備にも継続的に取り組んできました。こうした取り組みの目的は、日本の自動車メーカーが自動運転技術をより迅速かつ効率的に市場へ展開できるよう支援することにあります。
SDS は、市街地走行から高速道路、駐車シーンまで、幅広い運転環境において高度な運転支援機能および自動運転機能を提供します。狭い生活道路や複雑な交差点、左側通行といった日本特有の交通環境にも対応できるよう設計されており、日本市場に求められる高いレベルの走行性能を実現しています。
さらに、標準的な量産向けハードウェア上で動作するため、自動車メーカーは追加の専用ハードウェアを必要とすることなく、さまざまな車両プログラムへ効率的かつスケーラブルに展開することができます。
同様に重要なのが、SDS の高いハードウェア柔軟性です。SDSは、パッシブ冷却式のNVIDIA DRIVE プラットフォームをはじめとする幅広いコンピューティングアーキテクチャに対応しており、自動車メーカーは自動運転システム全体を再設計することなく、次世代のコンピューティングプラットフォームやセンサーを採用することができます。この柔軟性により、OEM は性能やコスト、導入戦略をより柔軟かつ細やかに最適化することが可能になります。
SDS を支えているのは、Applied Intuition のエンド ツー エンドのデータ開発プラットフォームです。このプラットフォームは、実世界で収集したデータと高品質な合成データを組み合わせることで、学習、検証、導入の各プロセスを加速します。その結果、より迅速な開発サイクルを実現するとともに、新たな市場や環境への適応を容易にし、より自然で人間らしい運転挙動を実現することが可能になります。
Applied Intuition にとって、日本市場への展開は単なる地域拡大の一環ではありません。それは、一つのフィジカル AI プラットフォームによって、世界各地の多様な交通環境に対応するインテリジェントドライビングを実現できることを示す重要なマイルストーンです。そして、グローバル規模で自動運転技術を展開していくという同社のビジョンを裏付けるものでもあります。
イベント当日、参加者は Applied Intuition のプラットフォームが、さまざまな産業の現場で実際に活用されている様子を目の当たりにしました。会場では、Applied Intuition の SDS を搭載したフォード マスタング マッハ E のデモ車両が展示されたほか、実際に新東名高速道路で商用運行を行っているいすゞの自動運転トラックのライブ映像も公開されました。
参加者は、車両が周囲の環境をどのように認識しているのか、またどのような走行経路を計画しているのかをリアルタイムで確認しながら、自動運転技術の実際の動作を体感しました。
また、カリフォルニア州サノールにある Applied Intuition の専用テスト施設「ロックウェル プロビング グラウンド」からの映像も紹介されました。そこでは、自動車分野だけでなく、建設機械や鉱山機械の分野においても、同じソフトウェアプラットフォームやセンサーフュージョン技術、AI が活用されている様子が紹介されました。これらのデモはいずれも、Applied Intuition の単一プラットフォームが多くの業界で有効であり、すでに現場で稼働していることを示していました。
Applied Intuition の日本におけるプレゼンスは、一朝一夕に築かれたものではありません。「Intersect 26: Japan」で紹介された自動車 OEM や商用車メーカー、さらには産業分野を代表する企業とのパートナーシップは、長年にわたる技術協力や共同開発、そして日本市場への継続的な投資の積み重ねによって実現したものです。
日本は、フィジカル AI の発展において極めて重要な役割を担う市場です。世界トップクラスのエンジニアリング組織が集まり、モビリティや製造業、産業オペレーションの進化を牽引してきた企業が数多く存在しています。
その一方で、労働力不足やシステムの複雑化といった課題は、日本において特に顕在化しています。これらはまさにフィジカル AI が解決を目指す課題でもあり、日本は次世代のインテリジェント マシンを実社会で検証・実装していくうえで、世界でも最も重要な市場の一つとなっています。
Applied Intuition にとって、日本は単なる市場以上の存在です。日本は、フィジカル AI の開発における戦略的パートナーです。日本のエンジニアリング文化、卓越した運用能力、そして産業におけるリーダーシップは、今後数十年にわたり、インテリジェントな車両や機械がどのように構築され、導入されていくかにおいて、決定的な役割を果たす立場にあります。Applied Intuition は、日本のパートナーと共にその未来を築いていくことを誇りに思います。